結論:「美味しい」は嘘ではないが、ほとんどの飲食店が同じ言葉を使っているため、それだけでは新規のお客様に選ばれる理由にならない。選ばれる店は、味そのものよりも「誰が」「どんな時に」「何を感じて」食べているかを具体的な言葉にしている。
「うちの料理は美味しいので自信があります」——大阪府内の飲食店オーナーと話す中で、これは本当によく聞く言葉です。実際に食べてみても、確かに美味しい店がほとんどです。しかし、メニュー表やSNSに「美味しい」「こだわりの一品」と書くだけでは、初めて店を知ったお客様の来店動機にはなりにくいのが実情です。
なぜ「美味しい」だけでは伝わらないのか
理由はシンプルで、「美味しい」はほぼすべての飲食店が使っている言葉だからです。Googleマップを開けば、周辺の店もほとんどが「美味しい」「こだわりの食材」と紹介されています。お客様からすると、どの店も同じように見えてしまい、比較のしようがありません。
味の良し悪しは、実際に食べてみないと分からない主観的なものです。だからこそ、来店前のお客様に対しては「美味しさ」そのものより、その美味しさがどんな体験として得られるのかを伝える必要があります。ここが抜けている店は、味に自信があるほど「伝わらない名店型」に陥りやすくなります。
選ばれている店は何を言葉にしているのか
新規来店が安定している店の発信を見ると、共通してこの3点が言葉になっています。
- 誰のための料理か(一人でゆっくり食べたい人向け、家族の記念日向けなど)
- どんな場面で価値を感じてもらえるか(仕事帰りに癒されたい、大切な人と特別な時間を過ごしたいなど)
- 味のどこに、どんな工夫があるのか(食感、香り、温度、調理の手間など具体的な要素)
例えば同じ「出汁が自慢のうどん店」でも、「毎朝5時から炊く、雑味のない透き通った出汁」と伝えるのと、ただ「美味しい出汁」と伝えるのとでは、お客様が抱く期待も来店の決め手も大きく変わります。具体性があるほど、お客様は自分ごととして想像しやすくなるのです。
自分の店の「美味しい」を言葉にするために
店主やオーナー自身にとって、毎日作っている料理の魅力は当たり前になりすぎていて、あらためて言葉にする作業を後回しにしがちです。だからこそ、お客様からの感想やレビューの中に出てくる具体的な表現を集めてみることが、言語化の手がかりになります。値下げやキャンペーンより先に、この「言葉にする」作業に取り組むことが、選ばれる店への近道になります。
よくある質問
Q. 「美味しい」という言葉自体を使わない方がいいのですか?
A. 使うこと自体は問題ありません。ただ、それだけで終わらせず、誰のための味か、どんな体験が得られるかまで具体的に伝えることが重要です。
Q. 自分の店の魅力をどう言葉にすればいいか分かりません。
A. 店主自身では気づきにくいことが多いため、お客様の口コミや感想の中にある具体的な表現を集めたり、第三者による診断を受けることが有効です。
Q. メニュー表やSNSのどちらを先に見直すべきですか?
A. どちらか一方ではなく、伝えたい内容(選ばれる理由)を先に定めることが優先です。内容が固まれば、メニュー表にもSNSにも同じ軸で反映できます。
ご自身のお店の「美味しい」がどう伝わっているか気になった方は、無料の現地診断でご一緒に言語化していくこともできます。
